化学反応式の作り方をわかりやすく|係数のつけ方と中2で出る反応式一覧
この記事の要点
- 化学反応式は、化学変化を化学式で表した式。左辺に反応前、右辺に反応後の物質を書き、→ で結ぶ
- 左辺と右辺で、原子の種類と数が等しくなるようにする
- 数をそろえるときは、化学式の前に係数をつける。化学式(添え字)は変えない
- 係数は最も簡単な整数の比にし、1 は書かない
化学反応式とは
化学反応式は、化学変化を化学式を使って表した式です。たとえば、水素が燃えて水ができる変化は、ことばの式と化学反応式で次のように表せます。
- ことばの式:水素 + 酸素 → 水
- 化学反応式:2H₂ + O₂ → 2H₂O
化学変化の前後で、原子がなくなったり新しくできたりすることはありません。そのため、化学反応式は次のルールで書きます。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| ① 左右の書き方 | 左辺に反応前の物質、右辺に反応後の物質を書き、→ で結ぶ |
| ② 原子の数 | 左辺と右辺で、原子の種類と数を等しくする |
| ③ 係数 | 化学式の前の数字(係数)は最も簡単な整数の比にする。1 は書かない |
化学式の書き方
化学反応式を書くには、まず物質の化学式を正しく書けることが必要です。化学式は、分子をつくる物質と分子をつくらない物質で書き方が変わります。
| 種類 | 物質と化学式 |
|---|---|
| 単体・分子をつくる | 水素 H₂、酸素 O₂、窒素 N₂、塩素 Cl₂ |
| 単体・分子をつくらない | 銅 Cu、鉄 Fe、マグネシウム Mg、銀 Ag、炭素 C、硫黄 S |
| 化合物・分子をつくる | 水 H₂O、二酸化炭素 CO₂、アンモニア NH₃ |
| 化合物・分子をつくらない | 塩化ナトリウム NaCl、酸化銅 CuO、酸化マグネシウム MgO、硫化鉄 FeS、酸化銀 Ag₂O、炭酸ナトリウム Na₂CO₃、炭酸水素ナトリウム NaHCO₃ |
- 単体:1 種類の原子だけでできている物質(H₂、Cu など)
- 化合物:2 種類以上の原子でできている物質(H₂O、CuO など)
水素・酸素・窒素・塩素の 4 つは、原子が 2 個結びついた分子(H₂・O₂・N₂・Cl₂)。金属と炭素・硫黄は、元素記号 1 つで書く。
係数と添え字のちがい
化学式の中の数字には、係数と添え字の 2 種類があります。
- 係数(化学式の前の大きい数字):分子(または原子の組)の個数。化学反応式を作るときに変えてよいのはこちら
- 添え字(元素記号の右下の小さい数字):1 つの分子などにふくまれる原子の数。変えると別の物質になってしまう
化学反応式の作り方(4 つの手順)
水の電気分解を例に、4 つの手順で作ってみます。
手順 1:ことばの式を書く
水 → 水素 + 酸素
手順 2:それぞれの物質を化学式にする
H₂O → H₂ + O₂
手順 3:係数をつけて、原子の数をそろえる
左辺と右辺で、原子の数を表にして数えながら係数をつけます。
| 式 | H(左辺/右辺) | O(左辺/右辺) | 判定 |
|---|---|---|---|
| H₂O → H₂ + O₂ | 2 個/2 個 | 1 個/2 個 | O が合わない |
| 2H₂O → H₂ + O₂ | 4 個/2 個 | 2 個/2 個 | H が合わない |
| 2H₂O → 2H₂ + O₂ | 4 個/4 個 | 2 個/2 個 | そろった |
手順 4:係数が最も簡単な整数の比になっているか確かめる
係数は 2:2:1 で、これ以上簡単にできません。答えは 2H₂O → 2H₂ + O₂ です。
H₂・O₂・Ag のような単体の係数は最後に決める。単体には 1 種類の原子しかないので、係数を変えてもほかの原子の数が変わらず、最後の調整に使える。
数をそろえるために、化学式の中の添え字を変えてはいけない。H₂O を H₂O₂ にすると、水とは別の物質(過酸化水素)を表すことになる。
練習 1:酸化銀の熱分解
黒色の酸化銀を加熱すると、白色の銀と酸素に分解します。
- ことばの式:酸化銀 → 銀 + 酸素
- 化学式:Ag₂O → Ag + O₂
- O が左辺 1 個・右辺 2 個 → 左辺を 2Ag₂O にする。すると Ag が左辺 4 個になるので、右辺を 4Ag にする
- 答え:2Ag₂O → 4Ag + O₂(Ag 4 個・O 2 個で左右が等しい)
練習 2:炭酸水素ナトリウムの熱分解
炭酸水素ナトリウムを加熱すると、炭酸ナトリウム・二酸化炭素・水に分解します。
- ことばの式:炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 二酸化炭素 + 水
- 化学式:NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O
- Na が左辺 1 個・右辺 2 個 → 左辺を 2NaHCO₃ にする
- 原子の数を確かめる
| 原子 | 左辺 2NaHCO₃ | 右辺 Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O |
|---|---|---|
| Na | 1 × 2 = 2 個 | 2 個 |
| H | 1 × 2 = 2 個 | 2 個 |
| C | 1 × 2 = 2 個 | 1 + 1 = 2 個 |
| O | 3 × 2 = 6 個 | 3 + 2 + 1 = 6 個 |
すべてそろったので、答えは 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O です。
中2で出る化学反応式の一覧
| 化学変化 | 化学反応式 | ポイント |
|---|---|---|
| 水の電気分解 | 2H₂O → 2H₂ + O₂ | 陰極に水素、陽極に酸素。体積は 水素:酸素 = 2:1 |
| 水素の燃焼 | 2H₂ + O₂ → 2H₂O | 水の電気分解の逆向きの変化 |
| 酸化銀の熱分解 | 2Ag₂O → 4Ag + O₂ | 黒色の酸化銀が白色の銀になる |
| 炭酸水素ナトリウムの熱分解 | 2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O | 水ができたことは塩化コバルト紙(青 → 赤)で確かめる |
| 鉄と硫黄の化合 | Fe + S → FeS | 硫化鉄ができる。係数はすべて 1 |
| 銅と硫黄の化合 | Cu + S → CuS | 硫化銅ができる |
| 銅の酸化 | 2Cu + O₂ → 2CuO | 酸化銅は黒色 |
| マグネシウムの燃焼 | 2Mg + O₂ → 2MgO | 酸化マグネシウムは白色 |
| 炭素の燃焼 | C + O₂ → CO₂ | 二酸化炭素ができる |
| 酸化銅の還元(炭素) | 2CuO + C → 2Cu + CO₂ | 酸化銅は還元され、炭素は酸化される |
酸化と還元の反応式と質量の計算は、酸化と還元の記事でくわしく扱っています。
よくあるミス
- まちがい原子の数を合わせるために、H₂O を H₂O₂ に書きかえる
- 正しくは化学式は変えず、係数で数をそろえる。添え字を変えると別の物質になる
- まちがい酸素を「O」と書いて、2H₂ + O → 2H₂O とする
- 正しくは酸素は原子が 2 個結びついた分子なので O₂。水素 H₂・窒素 N₂・塩素 Cl₂ も同じ
- まちがい2H₂O にふくまれる水素原子を 2 個と数える
- 正しくは係数は化学式全体にかかるので、水素原子は 2 × 2 = 4 個、酸素原子は 2 個
- まちがい4H₂ + 2O₂ → 4H₂O や、2H₂ + 1O₂ → 2H₂O と書く
- 正しくは係数は最も簡単な整数の比にし、1 は書かない。正しくは 2H₂ + O₂ → 2H₂O
確認問題
物質を元素記号と数字を使って表したものを何といいますか。
化学式
化学反応式で、分子などの個数を表すために化学式の前につける数字を何といいますか。
係数
酸素・水・二酸化炭素の化学式をそれぞれ書きなさい。
酸素 O₂、水 H₂O、二酸化炭素 CO₂
2H₂O には、水素原子と酸素原子がそれぞれ何個ふくまれていますか。
水素原子 4 個、酸素原子 2 個(係数の 2 は化学式全体にかかる)
水の電気分解を化学反応式で書きなさい。
2H₂O → 2H₂ + O₂
鉄と硫黄の混合物を加熱したときの変化を化学反応式で書きなさい。
Fe + S → FeS(できる物質は硫化鉄)
酸化銀の熱分解を化学反応式で書きなさい。
2Ag₂O → 4Ag + O₂
水素の燃焼を「H₂ + O₂ → H₂O₂」と書いた人がいます。どこがまちがっているか説明しなさい。
原子の数をそろえるために化学式(添え字)を変えている点。H₂O₂ は水ではない。係数で数をそろえ、2H₂ + O₂ → 2H₂O とする。
炭酸水素ナトリウムの熱分解を化学反応式で書きなさい。
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + CO₂ + H₂O
「4H₂ + 2O₂ → 4H₂O」は原子の数がそろっていますが、正しい化学反応式とはいえません。その理由を答えなさい。
係数が最も簡単な整数の比になっていないから。すべての係数を 2 でわって、2H₂ + O₂ → 2H₂O とする。